かつて、成績にたいそう苦労した生徒がいました。
どの教科もいつも1桁代という状態で、
一生懸命素直にやってはいましたが、それを引き上げるのは困難を極めました。
1月の学調が近づいてきて、私はその生徒に、補習の時間を使って数学の計算問題を徹底的に練習させました。
学調の(入試もそうですが)数学は、毎回大体同じ形式。
前半には、計算問題など、最低限これは解けるっしょ的な問題があります。
その部分の問題を、何回も何回もやらせました。
やっていくうちに、本人も「できるじゃん」となって楽しくなってきました。
本番。
その生徒はそれらの問題をしっかり取ってきました。
点数も、大幅アップ(数学だけですが・・・)!平均点を超えていたかもしれません。
本人はもちろん大喜び。
お母様もたいへん喜び、感謝されました。
これは成功体験になっただろう。
これで本人に自信がつけばいいな。
ブレイクにつながればいいな。私はそう希望を持ちました。
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現実はそんなに甘くありませんでした。
学年が上がり、内容はまた難しくなっていきます。
本人も(塾にいる間は)一生懸命でしたが、結局また地を這うような成績、元の木阿弥。
結局その生徒はある時点で気持ちが切れ、やめてしまいました。
形式やパターンが決まっている問題なら、
それをやり込むというのが過去問練習。
大問4は捨てようとか、大問1と2は手堅く取ろうとか、
細かいテクニック・コツのようなものが効き目を発揮します。
それは、英検とか、大学入試とか、
(うまくいけば)一回で終わるテストならいいかもしれません。
後腐れもなし!
でも、中学生にとってテストは、3年間ずっと続くものだし、
高校になってもレベルアップして続くものです。
1回か2回「過去問(あるいは予想問題)練習」で乗り切ったって、
実力が伴っていなければ、そのあと長続きはしません。
浮上のきっかけには・・・あまりなりません。
言ってみれば麻薬のようなもの。
そんなことを私は学びました。
もちろん、目の前のテストに全力を注ぐことは大事です。
今週も、追い込んでいきます。
でも、そんな過去の生徒のことをふっと思い出しました。
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