【メモ】時刻の計算を苦手とする小学生の指導に関する考察
- orangejuku
- 2024年8月8日
- 読了時間: 3分
1.はじめに
弊塾では、小学生で算数に苦戦する子に、「時刻の計算」が極端に苦手な子がしばしばみられることに着目し、臨床での実践を重ねてきた。
※参考
(弊塾ブログ、2024.611)
その結果、そのような子どもが共通して苦手とするパターンがいくつか見出された。
本稿ではそれらの共有をはかり、臨床における算数教育に資したいと考える。
2.共通して苦手とする問題のパターン
文章題の形式で
「家を出てから(※1)家に帰るまで(※2)何時間何分かかりましたか」
※1.例えば、家を出た時刻を午前7時40分とする
※2.例えば、家に帰り着いた時刻を午後3時10分とする
というパターンの問題が出ると思考停止してしっちゃかめっちゃかな計算を繰り広げ、しかも回数を重ねても間違い続けるという子が多くみられた。
以下では、それらの子たちのつまづく要因を挙げてみたい。
3-1. つまづく要因①
「問題文の意味がよくわかっていない」
「家を出た時刻」と「家に帰った時刻」を問題文や、自分自身が解いた答えの中から探して見つけることのできない子が多々いた。答えを「引き算」で求めるという概念が希薄な子も多かった。国語力の弱さとともに、粘り強く探す力の弱さが懸念されるところである。
3-2. つまづく要因②
「どっちからどっちを引くか、をテキトーにやる」
家を出た時刻が午前7時40分であり、家に帰った時刻が午後3時10分である。
その間の差で、引き算だから、
7:40-3:10=4:30 答え 4時間30分♪♪
という誤答のパターンが大変多かった。
ここで懸念されるのは、テキトーにキリよい数字や計算しやすそうな式を選び、理屈やルールを全く考えないというメンタリティである。
そのような心のありようは、たとえ「勉強以外の場面」では実際「いい子」であったとしても、看過できない弊害を生ずると筆者は考える。
3-3. つまづく要因③
「午後3:10-午前7:40のやり方を知らない」
午後3:10=午前15:10 であること、
分単位の引き算ができない場合、1時間(60分)左からもらってくること
それらの概念・方法を学校の授業において全く習得できなかったのだと思われる。
まあ、これは教えてやりゃーよいのであるが、「午後3:10=午後15:10であること」がなかなか理解できないことも多い。理解なしに方法だけ教えてもすぐに忘れられてしまうことには注意が必要である。
4.結論
本稿においては、「家を出てから家に帰るまで何時間何分すぎていましたか」というパターンの問題が極めて苦手な子が一定数いることを紹介し、分析を試みた結果、つまづく要因は一つではなく、複数にわたることを考察した。
つまづく要因を細かく把握し、集中的にくりかえしトレーニングしていくことが有効であると考える。現場の先生方の粘り強い指導を願ってやまない。

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