穴の開いたバケツ。
- orangejuku
- 2024年12月18日
- 読了時間: 2分
中学生のその子は、
たいそう勉強に苦戦していました。
でも素直に補習にも、週何日も来続けていました。
1月の学調の前に、
僕は数学のちょっとした「対策」をしてあげました。
数学の学調、毎年それほど出題パターンが変わりません。
その中にはいくつか「点取り問題」があります。
これ落としたらもったいなさすぎだろう!
みたいな問題です。
そんな問題2、3問の練習を
僕は冬休み前後に怒涛のごとくさせました。
理由とか抜きで、とにかくこう解けばいいんだよ、
と。
あと、大問1の計算問題も間違わないように指導しました。
繰り返しそんなことをやったら
その子も「なるほどー」「できるできる」という感じになってきました。
年明けて迎えた学調、
その子は学年平均を超える点数を数学で取り、
大いに喜びました。
もちろん僕も。
お母様も大変感謝してくださいました。
平均を超えるなんて、もう信じられない、ありがとうございます!
という感じでした。
その後、その勢いに乗ってその子は
・・・伸びることはありませんでした。
また以前の通り
地を這うような成績のまま、いや
むしろどんどん悪くなっていきました。
学年が上がれば、
数学も難しくなっていきますからね。
結局次の学年でその子は塾をやめてしまいました。
定期テストの結果を見て僕がため息を吐いたからです。
その次の日から、ぱったりこなくなりました。
何やってんだか。
今でも思い出すと心が疼きます。
学調前に
付け焼刃で、これはこう解けばいいんだよ、
という指導をしたことは、あながち間違いとも言えません。
それはそれで、
学調対策以外の普段の補習(および通常授業)、
基礎を徹底的に身につけるように導いていくべきところで
僕の指導は極めてお粗末だったなあ、
と後悔するのです。
今学校でやっているところやテスト範囲に下手に
「追いつこう」としてみたり。
簡単な問題だけに的を絞って「点数を取らせよう」としてみたり。
それは基礎がしっかりしていないから、
穴の開いたバケツのようなもの。
必ずツケが回ってくる。
補習も通常授業も、
そのことを忘れないようにしています。

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