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「困ってないから勉強しないんだ」?

昔々、若い頃



「若者は政治に興味を持たない。嘆かわしい。生まれたときから豊かな暮らしで、困ってないからだ。韓国(当時なにかの政治運動がさかんで、学生が抗議の焼身自殺をしたなんてニュースがあった記憶があります)とはえらい違いだ」



「若者は遊んでばかりでまじめに勉強しやしない。嘆かわしい。生まれたときから豊かで不自由しないからだ。当たり前に勉強できることに感謝もしない。アジアやアフリカでは子どもや若者は必死に目を輝かせて勉強しているぞ」



という話をときどき聞かされました。






そういうご高説を承るたび、



「そんなこと言ったって、実際に豊かなんだから、しょうがないじゃないか。どうしろって言うんだ?俺らのせいか?」



と思ったものです。



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今もときどき教師や大人は、



「お前らは困ってないし不自由してないから勉強しないんだ。フ抜けてる。しかし今は困ってなくても大人になったら困るぞ?社会は厳しいんだぞ。これからの社会はどんどん厳しくなるぞ。世界の新興国や、AIや、(以下略)」



と言って嘆いたり、子どもを詰めたりします。









「子どもを呪いたいのかよ?」



と僕は思います。







言っていることは正しいのかもしれません。


(言っている本人がどれだけそれを身に染みてわかっているのかはともかく。)





日本が沈みかかった舟であることも、



社会は厳しいことも、



社会の変化が激しいことも、



努力してこなかった人がそれなりの報いを受けることも・・・






でも、



人は切実に身に染みて実感できることでしか(それか、楽しくてしかたないことでしか)



動かないものです。




これは、いわゆる「偏差値の低い」高校に勤務し続けて僕が身に染みて学んだことです。









そんな大所高所からのお叱りやお嘆きなど、



どれだけ子どもに刺さるものか。







一部の子には「刺さる」かもしれません。






でも、



実感できないのに、言葉や話術や空気を巧みに使って信じ込ませることを、



「洗脳」



と呼ぶんだと僕は思います。









困らないと人は変わらない



これは事実です。



賛成です。





僕も、



「頭を動かさないこの子を、どうやって困らせるか」ということを、



常に常に考えています。





ただ、困らせる(行動を変えさせる)としたら



「将来なあ・・・」



「世の中はな・・・」



という御託を持ち出すのは卑怯だと僕は思っています。




子どもたちに心の奥底で納得もされません(洗脳に成功した場合は別として)。







自分が全権を振るうことが許された、教室での授業の中の、



「この問題を解け」という営みの中で、



きっちり困らせるべきだと僕は思います。






子どもたち本人が納得できる仕方で。


 
 
 

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